2024年5月14日、観光庁「地域観光”新発見”事業」公式サイトより、第2次公募のスケジュール・説明会の開催が発表されました。
今回は、地域観光”新発見”事業の第2次公募の内容や、各申請枠の詳細、対象者、スケジュールなどを紹介します。
地域の観光資源を活用した地方誘客に資する観光コンテンツ造成に取り組む事業者の方は、ぜひ以下を参考にしてください。
5月31日更新:本日5月31日より、公募開始が発表されました!
事業の目的
観光需要が本格的に回復する中、観光客の宿泊先はインバウンドを中心に都市部へ偏在傾向があります。
観光による経済効果を地方にも波及するためには、特に地方部の地域間競争力を高め、地方誘客を強力に進める必要があります。
(国内外の観光客の地方誘客を促進するため、本事業では、インバウンドに限らず国内観光客の地方誘客に資する観光コンテンツの造成を行うことができます。)
公募要領には、以下のように記載があります。
本事業は、地域の観光資源を活用した地方誘客に資する観光コンテンツについて、
地域観光新発見事業(第二次) 公募要領
十分なマーケティングデータを活かした磨き上げから適時適切な誘客につながる販
路開拓及び情報発信の一貫した支援を実施するものです。
国内外の観光客の地方誘客を促進するため、本事業では、インバウンドに限らず国内観光客の地方誘客に資する観光コンテンツの造成を行うことができます。
「適時適切」とは?
たとえば、オフシーズンや早朝・夜間の活用により誘客の分散化を図ることや、販路開拓や情報発信において、観光客が訪問・滞在しやすい工夫を図ることです。
観光客が集中しないように、オーバーツーリズム対策は必須ですね
補助対象
以下の要件を全て満たす者を、本補助金の補助対象事業者とします。
・ 地域の関係者と連携すること。
・ 地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、民間企業等であること。
・ 地方公共団体でない場合は、事業に係る全ての市区町村の同意を得ること。
※詳細は公募要領をご覧ください。
個人が実施主体となることは認められておりません。
類型
地域観光新発見事業には新創出型と販売型の2つの類型があります。
この2つの類型ともに共通する補助要件は3つあります。
・観光事業者が連携して地域に根差した観光コンテンツを造成する取組であり、地域の産業連携を通じて観光消費拡大を図る取組であること。
・観光コンテンツの販売及び継続的に事業を実施することを前提とした取組であること。
・本事業実施期間内に、観光コンテンツについて、観光コンテンツタリフ(料金表やメニュー表)を作成し提出すること
※詳細は公募要領をご覧ください。
補助額
本補助金の補助率及び補助上限額は、以下のとおり定められています。
補助率:400 万円まで定額
地域観光新発見事業(第二次) 公募要領
400 万円を超える部分については補助率 1/2
補助上限:1,250 万円 最低事業費:600 万円
補助対象経費
① 観光資源を活用した観光コンテンツの造成に係る経費
・ 観光コンテンツ、旅行商品等の企画開発
・ 名産品、クーポン券等の企画開発
・ ワークショップ、協議会等の開催
・ 専門家からの意見聴取
・ ガイドの育成、観光イベントの実施
・ 観光戦略の策定
・ 地域事業者等に対するセミナーの開催
・ 造成した観光コンテンツに関するモニターツアーの開催
・ 効果測定に必要な調査等
※ 販売型は、観光資源を活用した観光コンテンツの造成に係る経費において、実施主体の人件費及び旅費が補助対象経費となります。
② 備品の購入・設備の導入に係る経費
・ 観光コンテンツの造成等に必要となる備品の購入や設備の導入等(真に必要不可欠なものに限る。)
③ 販路基盤整備・プロモーションに係る経費
・ 造成した観光コンテンツを販売するために必要となる写真、動画、ホームページ、チラシ、パンフレット等、対外的な情報発信のための素材やツールの作成
・ 造成した観光コンテンツの販路拡大を目的とした販路基盤整備・プロモーションに係る経費
・ 造成した観光コンテンツに関するファムトリップやインフルエンサーの招聘等
※新創出型は、①観光資源を活用した観光コンテンツの造成に係る経費を事業費の 50%以上とする必要があります。
(注意)補助対象にならない経費
以下の経費については、補助対象外であることが明記されています。
・本事業に直接関係のない経費
・ 交付決定前に発生した経費
・ 事業者における経常的な経費(運営に係る人件費及び旅費、事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費並びに通信料等)
・ 旅行者が受益する、景品の購入や割引に係る経費
・ 実施主体の会食費、弁当代等の飲食費
・ 本事業における資金調達に必要となった利子
・ モニターツアー参加者の実施場所への旅費 等
※ 販売型は、観光資源を活用した観光コンテンツの造成に係る経費において、実施主体の人件費及び旅費が補助対象経費となります。
なお、本事業では、造成したコンテンツの販売による収益納付は必要ありません。
※詳細は公募要領をご覧ください。
公募期間
令和6年5月31日(金)〜令和6年6月24日(月)正午
申請の流れ
2024年5月23日現在、第2次の正式な公募要領の公開に基づいて、情報を更新しています。(2024.5.23更新)
令和6年5月31日(金)〜令和6年6月24日(月) | ① 応募受付 |
令和6年7月下旬 | ② 採択通知 |
令和6年8月中 | ③ 事業計画書及び交付申請書提出 |
令和6年8月下旬〜令和6年9月上旬目処 | ④ 交付決定 |
交付決定後〜令和7年2月28日 | ⑤事業実施期間 |
令和7年2月28日まで | ⑥ 完了実績報告・精算書類提出 |
令和7年3月中 | ⑦ 精算(補助金の支払い) |
申請資料は、地域観光新発見事業サイトにて事業者登録し、申請システム経由で提出します。
本事業サイトURL https://shinhakken.go.jp/
※詳細は公募要領をご覧ください。
審査のポイント
審査のポイントは、次の5つになります。
採択の可否は有識者により行われます。
1.持続可能な観光づくりへの寄与
単発的な取り組みにならず、作った観光コンテンツが長く地域で販売・利用されることが理想です。地域へお金が流れること(域内調達の比率向上)、地域住民の生活を阻害しないことなども重要であると推察されます。
2.独自性
他の地域や過去にない観光コンテンツをつくるにはどうしたらいいでしょうか?その地域ならではの観光資源を活用したり、その地域の環境・状況を踏まえることで、オリジナリティのある観光コンテンツが造成できることでしょう。
3.具体性・計画性
計画倒れに終わらない、確実に実行できる内容であるかもポイントです。非現実的なスケジュールになっていないか、必要な費用の上振れの可能性はないかなど、不足の事態も考慮した事業計画を立てましょう。
4.実施体制・持続性
本事業で販売を想定した運営体制の構築が要件に含まれるなど、事業の確実な実現性も実施されています。実行力のある実施体制、単年度で終わらない組織やチームの持続性もポイントになるでしょう。
5.収益性
観光コンテンツの造成を通じて地域内経済を向上させることが、本事業の趣旨でもあります。そのため、しっかりと売れるコンテンツなのか、売れたことで収益が得られるモデルになっているかも考慮しましょう。
期待されるコンテンツ造成の例
本事業の目的に沿って、観光庁では以下のような事業の応募を期待しています。
単に観光資源をそのまま観光コンテンツとして活用するのではなく、
地域観光新発見事業 説明会資料より引用
・ターゲットとなる国内観光客やインバウンドを想定し、地域にとって経済効果の高い魅力的な観光コンテンツに適切に磨き上げるもの(市場別・ターゲット別の売れ行きや満足度、経済波及効果を把握し、域内調達率が高く、地域への経済波及効果が高いもの)
・顧客の体験価値の向上を重視したマーケットインの発想で観光コンテンツを磨き上げるもの (地域一体で地域が持つストーリーを体現し、訪問者に「本物の体験」を提供することを目指すもの)
・観光コンテンツが、新たな来訪の目的の創出、観光消費の場の提供、より長期の滞在への誘因、 異文化との交流拠点等に資するものであること
が期待されます。(以下は一例となりますので、他にも魅力的なものを大募集します。)
寺社限定拝観・城巡りガイティングツアー・ものづくり体験など、顧客の体験価値の向上と旅行客数の向上、消費額の拡大につながるものが望ましいでしょう。
注意事項
本事業では全国からの申請を受け入れていますが、地方への誘客を促す趣旨から、採択案件の80%以上は地方部となるよう審査が行われます。
ここでいう地方部とは、「埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県を除く地域」を指します。
実施主体の所在地が事業実施地域と異なることはOKです。
ただし、持続可能な観光地域づくりへの寄与に資する取り組みになるよう、地域の事業者と連携することなどが期待されます。
新型コロナウイルスも落ち着き、国内旅行客・海外旅行客問わず、再び観光業が盛り上がってきています。
ただ、その恩恵は、特定の地域に集中しているという現状があります。
政府としても、地方に観光客を分散させることで、地方にも「観光で稼いでいく(経済効果を波及する)」ことを目指した取り組みを進めており、本事業はその一環であると考えています。