2025年1月24日、観光庁より、「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」の公募開始前説明会が実施されました。
今回は、地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業の公募の内容や、各申請枠の詳細、対象者、スケジュールなどを紹介します。
インバウンドをターゲットとした高付加価値ツアーの実施に取り組む事業者の方は、ぜひ以下を参考にしてください。
当記事は、「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」の公募を開始します」(観光庁)をもとに観光ONEが独自にまとめたものです。
事業の目的
日本政府は、2030年までに外国人観光客の消費額をさらに増大させる目標を掲げています。
2024年には訪日外国人観光客数が過去最高の3,500万人、消費額が8兆円に達しましたが、一人あたりの消費額の増加が今後の重要課題です。
特に日本は、観光コンテンツや娯楽サービスへの支出が諸外国と比較して低く、観光地での高付加価値な体験が不足している現状があります。
この課題を解決するため、地域の独自性を活かしたインバウンド向けの特別な高単価体験商品(プレミアムインバウンドツアー)の開発が急務です。
これにより、訪日観光客が「日本でしか味わえない体験」を楽しめるようになり、地域経済の活性化と日本の魅力向上が期待されています。
また、令和5年度補正予算とは異なり、今回の施策は特に一人当たりの消費額増加に焦点を当てた内容となっています。
この取り組みは、地方創生とインバウンド経済効果の波及を同時に実現するものとしてとても重要です。
インバウンドと消費額についてはこちらをご覧ください。
補助対象
地方公共団体、独立行政法人、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者等
補助対象となる取組
以下の3つのいずれかの類型を満たすものが、当事業での補助対象となる取り組みとなります。
もちろん複数の類型の内容をまたいでも構いません。
類型1:プレミアム型
特別な機会を活用した高単価な体験商品であるもの
例:国際スポーツ大会における選手との特別交流を含む特別観覧席、世界ラリー選手権におけるホスピタリティプログラム、地域の伝統行事に特別に参加可能なツアー
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類型2:コト消費×モノ消費
希少性の高い体験コンテンツ(コト消費)と高付加価値な地域特産品・工芸品等の購入(モノ消費)を組み合わせたツアーであり、地域への高い経済波及効果が期待されるもの
例:国指定伝統工芸品のグランドマスターとの交流・工房見学、一日漁師体験とマグロ会席、蔵元の特別解説付きの日本酒テイスティング体験
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類型3:規制改革型
未公開エリア開放や早期・夜間の活用など規制緩和を行った上、造成される高単価な特別体験商品であるもの
例:通常飲食不可である特別名勝での茶懐石体験、日本三大平山城の夜間特別貸し切りによる晩餐会の開催、早朝の島を貸し切って専属ガイドによる案内
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販売要件
- 本事業期間内に造成する体験商品の性質に応じた合理的な販路を確保した上で、インバウンドへの販売
- 海外の旅行会社等への販路を有しているDMCやランドオペレーター等、ターゲットの市場ニーズ、適正価格等についてノウハウを持つ事業者を実施体制に組み込み、随時アドバイスを受ける等を工夫
- 販売する体験商品が旅行商品に当たる場合には、旅行業法に基づき販売できる体制を構築
- 本事業期間後の事業継続を前提に販売・実施
補助額
補助率の条件は下記となっています。
(1)定額補助:事業費の1,000万円まで
(2)事業費の1,000万円を超える部分について8,000万円までを1/2補助
(3)最低事業費:1,500万円(この場合自己負担額250万円)
補助対象経費
体験の造成にかかる経費 | ・体験商品等の企画開発 ・外国語ガイドの育成・確保 ・モニターツアーの実施とそれを踏まえた体験商品の改善 ・体験商品の紹介、説明、案内等に関する多言語対応 など。 |
備品の購入・設備の導入に係る経費 | ・備品の購入・設備の導入に係る経費に関しては、体験商品等の造成に関して真に必要不可欠で事業終了後に自立的な事業継続に必要なものに限る。 |
プロモーションに係る経費 | ・体験商品を販売するために必要となる写真・動画の作成、ウェブサイト等のインバウンド向けの情報発信のためのツール作成・翻訳 ・インフルエンサーの招待など、造成した体験商品の認知拡大を目的とした一般向けの広告宣伝 ・海外商談会への出展等、造成した体験商品の販売経路の確保に関すること |
体験商品の造成に係る経費が事業費の50%以上となる必要があります。
条件が少ないことから、今年度はプロモーションに係る経費を重視していることが分かります。
コンテンツの造成だけでなく、「認知拡大」への取り組みはとても重要です。
「作りっぱなし」にならないように、戦略を練っていきましょう。
(注意!)補助対象とならない経費
- 本事業に直接関係のない経費
- 交付決定前に発生した経費
- イベントやレセプション、フォーラム等の行事本体の開催、運営に係る経費
- 事業者における経常的な経費
光熱費や事務所の経費等
公募期間
公募受付開始予定 | 令和7年2月6日(木) |
公募受付締め切り | 令和7年3月14日(金)12:00厳守 |
公募結果発表 | 4月中旬ごろ |
実施報告締め切り | 令和8年2月末 |
申請の流れ
補助金事務局指定の審査様式(パワポやエクセルなどで様式が1〜5まである)に従って過不足なく提出する必要があります。(公募開始後に公開予定)
審査申請には自治体の同意書が必要となります
審査のポイント
当事業の採択には、事務局および有識者を含む委員会において、以下の6つの審査の観点に基づいて、総合的に評価を行なった上で決定されます。
1.体験性
造成したコンテンツが、ここでしか体験できないものになっているか。
また、地域性を活かしているかなど、その地域の環境・状況を踏まえることで、オリジナリティのある観光コンテンツが造成できているか。
2.海外販路の妥当性
外国人観光客のターゲットの性質に応じた合理的な販路拡大、インバウンドへの販売やターゲットに則したプロモーション体制の構築ができているか。
3.価格設定の妥当性
価格に見合った体験価値があるか、持続的に販売可能な価格設定であるか。
4.消費拡大効果
本事業で投じた補助金に見合うか、周辺消費に貢献するか。
5.地域循環貢献
地域の方々によるか、地域人材の所得増加、食の地産地消に貢献できる内容であるか。
6.次年度以降の持続可能性
中長期的に販売すること前提とした運営体制の構築ができているか。
注意事項
現時点では2次公募は予定されていませんので、補助金の活用をご検討中の方は、必ず期間内に申請を行いましょう。
今こそ、観光事業者が一丸となって日本を盛り上げていく!
訪日外国人観光客数は着実に増えていますが、日本の観光業界にはまだ大きな可能性と課題が残されています。
今、私たちが目指すべきは、ただ消費額を増やすことだけではありません。
「絶対に行きたい!」「何度でも訪れたい!」と思わせるような、心を揺さぶる魅力的なコンテンツを生み出し、日本の価値を世界中に伝えていくことです。
観光事業者が一丸となれば、日本の観光業はもっと輝けるはずです。
地域の魅力を最大限に引き出し、訪れる人々の心に残る体験を提供することで、日本をさらに強く、魅力的な国にしていきましょう。
観光業は日本の未来を支える力を持っています。
私に出来ることであれば、全力でサポートさせていただきますので、どうぞ遠慮なくご相談ください。
共に未来を作り上げましょう!
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