2025年2月3日、観光庁の公式サイトより、「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」の公募が発表されました。
今回は、地域観光資源の多言語解説整備支援事業の公募の内容や、詳細、対象者、スケジュールなどを紹介します。
インバウンドなどの受け入れ体制強化に向けた多言語対応を行う観光関係者の方は、ぜひ以下を参考にしてください。
本事業は、補助金や交付金の類ではなく、観光庁における調査事業の一環として国が直接行うことで支援するものです。
事業概要をざっくりいうと、観光庁が派遣する専門家と一緒に解説文を作成し、外国人目線の多言語対応を実現していく事業です。
そのため、国負担で実施できる費用は、「解説文の作成に係る費用のみ」となります。
当記事は、「令和7年度「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」の公募を開始します」(観光庁)をもとに観光ONEが独自にまとめたものです。
事業の目的
近年、日本を訪れる外国人観光客が増え続けています。しかし、多くの観光地では、観光資源に関する外国語の解説文が不足していたり、表記が統一されていなかったりするため、訪れた旅行者に十分な情報が伝わらないという課題があります。
観光客は、旅行前にはWebサイトやプロモーション映像で旅のイメージを膨らませ、旅行中には解説看板やパンフレットで新たな発見を楽しみ、旅行後には持ち帰ったパンフレットや図録を見ながら思い出を振り返ります。そのため、分かりやすく読みやすい解説文があることで、旅行の満足度が向上します。
こうした背景を受け、観光庁は文化庁や環境省と連携し、「分かりやすい多言語解説整備推進委員会」を設立。平成30年度より「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」を開始しました。本事業では、「国立公園」「世界遺産」「国宝・重要文化財」「地域伝統芸能」「祭り」「食文化」「温泉」など、日本の魅力を伝える観光資源の多言語解説を支援しています。
さらに、事業の成果として「魅力的な多言語解説作成指針(HowTo多言語解説文整備)」「ライティング・スタイルマニュアル」「用語集」「事例集」を作成し、観光庁のWebサイトで公開しています。
令和7年度も、訪日外国人観光客にとって魅力的な多言語解説の整備を促進することを目的に、支援事業の公募が行われます。
観光庁が公開しているこれまでの事例も参考にしてみてください
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支援対象
地域協議会を設立する必要があります。
ただし、国または地方公共団体は単独での申請が可能です。
地域協議会の設立について
以下のいずれかを満たす複数の個人・団体等で地域協議会を構成して設立します。
また、地域協議会窓口と各構成員の連絡体制を構築が必要です。
ただし個人や一団体で地域の周遊性を高める面的な整備が可能な場合又は旅行者の観光資源への理解を促進させ、満足度が向上すると考えられる場合はその限りではありません。
- 観光資源を所有又は管理する個人・団体等
- 多言語解説整備を行う地域の自治体、観光地域づくり法人(DMO)及び観光協会など旅行者の誘致に関して観光戦略の仕組み作り、実行ができる組織
整備の対象となるもの
以下のいずれかを満たす多言語解説整備を行う観光資源を複数有することが理想です。
- 多言語解説整備を行うことによって、旅行者の観光資源への理解を促進させ、満足度が向上すると考えられるもの。
- 解説文を充実させることによって地域の周遊性を高め、滞在時間の増加が促されるもの。
禁止や注意を促すもの、極端に短い文章や地図、既存日本語解説文からの単純翻訳等については、本事業の対象外となります。
注意を促す標識の翻訳は、こちらの補助金が活用できます。
(令和7年9月26日(金)※17時必着。予算がなくなり次第、予告なく募集を終了)
その他
- 国立公園に関する内容については、各国立公園管理事務所に相談の上で申請を行ってください。
- 他省庁の多言語解説文作成の支援事業と重複する場合、当事業の支援対象外となる可能性があります。
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支援の内容
対象経費
- 専門人材に支払う解説文作成費・旅費等
- 専門人材と地域間における事前調整及び現地取材に係る費用
1地域あたり 500 万円~1,000 万円(※)を目安として、予算の範囲内で負担。
ただし、提出書類の内容により、特に必要と判断した地域には、解説文作成に必要な経費の上乗せを行う場合があります。
※500~1,000 万円で作成できる解説文点数の目安は、250Word の場合、英語解説文だと 23~45 解説文の作成が可能です。
本事業は、補助金、交付金の類ではなく、観光庁における調査事業の一環として行うものです。解説文の作成に当たっては、事業計画に基づき、国が直接執行します。なお、対象経費全般については事務局が管理を行います。
作成する解説文に使用する言語
作成する解説文に使用する言語は「英語」となります。
解説文の納品時にお渡しする日本語仮訳は英文の内容を確認するための参考資料のため、日本語仮訳に対する修正依頼はできません。
また、希望地域を対象に R7年度に作成する英語解説文を基に、同一年度内に中国語・韓国語への翻訳を実施します。
※申請状況及び予算等を勘案し、同一年度内に中国語・韓国語への翻訳ができない場合もございます。
公募期間
令和7年2月3日(月) ~ 令和7年2月 25 日(火) 18:00 まで。
申請の流れ
申請 | 令和7年2月 25日(火) 18:00 まで。 |
選定結果の通知 | 3月上旬〜中旬 |
オリエンテーション参加 (担当する制作会社とのマッチング) | 4月 |
事前ミーティング (地域協議会と担当制作会社が取材前のミーティングを実施。 整備対象や事業計画について確認・見直しを行い、方針を決定) | 5月~6月 |
現地取材 (専門人材(解説文作成者等)とともに、解説文整備を行う予定の観光資源を現地取材) | 6~8月頃 |
解説文作成・ファクトチェック等 | 7~10月頃 |
分かりやすい多言語解説整備推進委員会部会にて解説文の承認(一部地域) | |
修正・納品 | 10~1月頃 |
提出書類
① 様式 1 令和7年度「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」申請書(MSWord 形式、A4 版)
② 様式 2 令和7年度「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」地域協議会構成員一覧表(予定を含む)(MS-Excel 形式、A4 版)
③ 様式 3 令和7年度「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」整備対象一覧表(予定を含む)(MS-Excel 形式、A4 版)
④ 様式4 令和7年度「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」取組概要(ppt 形式、A4 版)
⑤ 整備対象の写真及び既存の解説文(日本語、英語問わない)がある場合は、解説文原稿又は解説文を撮影した写真(原稿については MS-word 形式、txt 形式、写真については、jpg 形式、png 形式、のいずれかの形式)
⑥ 本事業実施の効果を計ることができるような統計調査やアンケート調査等を過去に実施している場合は、調査結果が記載された資料(PDF 形式、A4 版)
⑦ 参考資料がある場合はその資料(PDF 形式、A4 版)
審査のポイント
地域協議会の設立や事業実施目的の明示、事業計画の策定、整備対象の条件を満たした上で、以下の内容に当てはまるとより評価が高まります。
- 地域伝統芸能や祭り、温泉や食文化等、地域固有の観光資源を含んだ整備計画が立てられているもの。
- 国立公園、世界遺産、世界無形文化遺産、国宝・重要文化財(建造物)、重要伝統的建造物群保存地区、特別史跡、特別名勝、文化的景観等の観光資源を含む整備計画が立てられているもの。
- 複数の個人・団体等により地域協議会を構成しているもの。
- 情報発信媒体を含めた整備計画が具体的に立てられており、解説文納品後速やかに媒体整備予定としているもの。特に、情報発信媒体について、説明看板等の整備を計画しているもの。
- 本事業は、日本各地の地域事情に応じた多言語解説整備に関する多様なノウハウを蓄積することを目的の一つとしており、自治体の規模や観光資源等の種類に応じた多様な解説事例を収集するため、観光庁のノウハウ蓄積に寄与すると考えられるもの。
- 旅行者が多く訪れている、本事業実施による効果が期待される観光資源を有しているもの。
- 本事業で作成した解説文を元に英語以外の多言語解説文を作成し、情報発信媒体整備を計画しているもの。
- 本事業を実施することで、より高い集客効果が見込まれるもの。
過去に本事業に参加した地域協議会等のうち、情報発信媒体の整備が未完了の解説文がある場合は、不採択や整備対象物の点数を減らす等の対応となることがあります。
留意事項
- 採択後は、必ず観光庁が開催する本事業に関する事前説明会(オリエンテーション)へ参加してください。
- 専門人材等による現地取材に当たっては、地域における旅行者のニーズや動向等の地域観光の実情や、整備対象について専門的知識を有している方が同行をしてください。
- 本業務で作成した解説文の著作権は全て観光庁に帰属します。そのため、本事業で作成した解説文の改変又は多言語への翻訳等を行う場合は、観光庁へ通知を行ってください。
- 情報発信媒体整備を実施する際は、本事業で作成された解説文であることが分かるよう、人目のつく場所(入り口の説明看板や WEB サイトのトップページ等)に観光庁のロゴマーク、又は「この解説文は観光庁の地域観光資源の多言語解説整備支援事業で作成しました」等の定型文を必ず入れて整備を行ってください。
- 事務局等からアンケートや満足度調査について協力を求められた場合は、実施にご協力をお願いいたします。
補助事業の内容の詳細は、
必ず観光庁公式の公募要領等をご覧ください。