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アメリカESTA・カナダeTA・韓国K-ETAを徹底比較|日本版ESTA(JESTA)はどうなる?

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日本版ESTA(JESTA)の導入に向けた検討が進むなか、「海外ではどのような制度が導入されているのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

実は、アメリカのESTAをはじめ、カナダのeTA、韓国のK-ETAなど、電子渡航認証制度は世界各国で導入・運用されています。
しかし、対象となる旅行者や申請料金、有効期間、制度の目的などは国によって異なり、それぞれの国情に合わせた仕組みとなっています。

本記事では、アメリカESTA・カナダeTA・韓国K-ETAと、日本版ESTA(JESTA)を比較しながら、それぞれの違いや特徴を分かりやすく解説します。
また、海外の事例から、日本版JESTAが観光業界にどのような影響を与えるのかについても考察します。

図などを多用しながら、分かりやすく解説します!

電子渡航認証制度とは

電子渡航認証制度とは、ビザが不要な国・地域の旅行者に対して、出発前にオンラインで渡航情報を申請してもらい、渡航しても問題がないかを事前に確認する制度です。
代表的な制度として、アメリカの「ESTA」、カナダの「eTA」、韓国の「K-ETA」があります。日本でも、2028年度の導入を目標に、「JESTA(日本版ESTA)」の創設が進められています。

電子渡航認証は、「入国を許可する制度」ではなく、「渡航前に事前確認を行う制度」です。認証を取得していても、最終的に日本へ入国できるかどうかは、到着後の入国審査で判断されます。
これまでは、ビザ免除国・地域の旅行者は、日本へ到着してから初めて入国審査を受けていました。しかし、JESTAが導入されると、到着後に行っていた確認の一部を、出発前に済ませられるようになります。

電子渡航認証制度は、「入国審査の一部を前倒しする仕組み」と考えると分かりやすいでしょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

ビザと電子渡航認証の違い

ビザと電子渡航認証は、どちらも外国人の渡航や入国に関係する制度ですが、対象者や審査の位置づけが異なります。

ビザは、就労、留学、長期滞在など、渡航目的や滞在期間に応じて発給されるものです。申請者は、必要書類を提出し、大使館や領事館などによる審査を受けます。国籍や渡航目的によっては、短期の観光旅行であってもビザの取得が必要です。
一方、電子渡航認証は、本来であれば短期滞在ビザを取得しなくても渡航できる「ビザ免除国・地域」の旅行者を対象としています。オンラインで必要事項を入力し、渡航前に簡易的な確認を受ける仕組みです。

つまり、ビザが必要な旅行者は、すでに渡航前の段階で審査を受けています。電子渡航認証は、これまで事前審査を受けずに渡航できたビザ免除対象者についても、出発前に一定の確認を行うための制度といえます。
ただし、電子渡航認証を取得していても、入国が保証されるわけではありません。空港などで行われる入国審査は引き続き必要であり、入国の最終判断は各国の入国管理当局が行います。

2026年7月現在
※クリックで拡大できます。

なぜ各国で導入が進んでいるのか

各国が電子渡航認証制度を導入する大きな目的は、入国審査の一部を、旅行者が到着する前に済ませることです。

これまで、ビザが不要な旅行者については、入国上の問題がないかを詳しく確認できるのは、原則として空港へ到着した後でした。
そのため、入国を認められない旅行者がいた場合は、空港での対応だけでなく、出発地へ送り返すための手続きも必要になります。航空会社や入国管理当局には、多くの時間と費用がかかっていました。

電子渡航認証制度があれば、旅行者の情報を出発前に確認できます。問題がある可能性の高い旅行者を、搭乗前の段階で把握しやすくなるためです。
一方で、すべての旅行者にビザの取得を求めると、観光やビジネスの負担が大きくなります。
そこで電子渡航認証制度は、ビザ免除による「訪れやすさ」を残しながら、出発前の確認を強化する仕組みとして導入されています。

ただし、旅行者にとっては、申請の手間や手数料が新たに発生します。制度が分かりにくかったり、認証に時間がかかったりすれば、その国を旅行先として選びにくくなる可能性もあります。

つまり、電子渡航認証制度で問われるのは、安全性だけではありません。
安全を高めながら、旅行者にとっての訪れやすさをどこまで維持できるか。
電子渡航認証制度は、そのバランスが重要になる制度です。

※クリックで拡大できます。

ESTA・eTA・K-ETA・JESTAの違いを一覧で比較

アメリカのESTAとは

ESTA(Electronic System for Travel Authorization)は、アメリカの電子渡航認証制度です。ビザ免除プログラム(Visa Waiver Program:VWP)の対象国・地域から短期滞在で渡航する旅行者は、出発前にESTAを取得する必要があります。
2009年に導入され、水際対策の強化や入国審査の効率化を目的として運用されています。現在では、日本を含む多くのビザ免除国・地域の旅行者が利用しており、世界で最も知られている電子渡航認証制度の一つです。

対象となる旅行者

ESTAの対象となるのは、ビザ免除プログラム(VWP)対象国・地域の国籍を持ち、観光・商用などの目的で90日以内滞在する旅行者です。
日本国籍の旅行者も対象となるため、アメリカへ短期旅行や出張をする場合は、原則として渡航前にESTAを取得しなければなりません。
なお、留学や就労など長期滞在を目的とする場合はESTAではなく、目的に応じたビザの取得が必要です。

観光や出張などの短期滞在はESTAで手続きを簡素化し、90日を超える滞在はビザによる個別審査へ切り替えることで、利便性と安全性のバランスを図っています。(就労・留学等は期間を問わずにビザが必要)

申請料金と有効期間

ESTAはオンラインで申請でき、認証されると2年間、またはパスポートの有効期限まで利用できます。
有効期間中は、条件を満たしていれば複数回アメリカへ渡航できます。ただし、1回の滞在期間は最長90日です。
料金は、料金は40.27ドルです。(日本円で約6,500円、為替レートにより変動)

課題

ESTAはアメリカの水際対策に大きく貢献している一方で、旅行者や観光業界ではいくつかの課題も指摘されています。

最も多いのが、ESTAの取得忘れです。認証がないまま空港へ到着すると搭乗できず、旅行の延期やキャンセルにつながるケースがあります。そのため、旅行会社や航空会社は、出発前にESTAの取得状況を案内・確認することが重要な業務となっています。
また、公式サイトを装った高額な申請代行サイトも問題となっています。本来より高い手数料を請求されるケースもあり、アメリカ政府は公式サイトから申請するよう注意を呼びかけています。

カナダのeTAとは

eTA(Electronic Travel Authorization)は、カナダへ空路で入国または乗り継ぎをする際に必要となる電子渡航認証制度です。2016年に導入され、ビザ免除対象国の旅行者を対象に運用されています。

ESTAと同様に、出発前にオンラインで申請し、認証を受ける必要があります。ただし、eTAが必要なのは飛行機で入国する場合のみであり、陸路や船舶でカナダへ入国する場合は、原則としてeTAは不要です。

対象となる旅行者

eTAの対象となるのは、ビザ免除対象国・地域の国籍を持ち、飛行機でカナダへ渡航または乗り継ぎをする旅行者です。
日本国籍の旅行者も対象であり、観光や出張などでカナダへ空路で渡航する場合は、原則としてeTAの取得が必要になります。一方、自動車や鉄道、船舶(クルーズ船を含む)で入国する場合は、eTAは必要ありません。

陸路は国境で直接審査できるため、同じ仕組みは採用されていません。
制度の目的と運用コストのバランスを考えた、カナダらしい設計といえます。

申請料金と有効期間

eTAの申請料金は7カナダドルです。(日本円で約810円、為替レートにより変動)
認証されると、最長5年間、またはパスポートの有効期限まで有効となります。有効期間中は何度でも利用でき、1回の滞在は通常6か月まで認められています。

課題

eTAは比較的安価で取得しやすい制度ですが、旅行者が注意すべき点もあります。
特に多いのが、公式サイトとよく似た申請代行サイトを利用し、高額な手数料を支払ってしまうケースです。本来の申請料金は7カナダドルですが、代行サイトでは数十〜100ドル以上を請求される例も報告されています。

韓国のK-ETAとは

K-ETA(Korea Electronic Travel Authorization)は、韓国へビザなしで渡航する外国人を対象とした電子渡航認証制度です。
対象となる旅行者は、航空機や船舶へ搭乗する前にオンラインで申請し、渡航の認証を受けます。制度の目的は、入国前に旅行者の情報を確認し、水際対策の強化と入国審査の効率化を図ることです。
なお、日本国籍者は2026年12月31日までK-ETAの取得が一時的に免除されています。今後、免除期間が終了または延長される可能性があるため、渡航前には最新情報の確認が必要です。

対象となる旅行者

K-ETAの対象となるのは、韓国へビザなしで入国できる国・地域の旅行者です。
観光や短期出張、親族訪問などを目的として、飛行機や船舶で韓国へ渡航する場合、原則として出発前にK-ETAを取得します。
ただし、すべてのビザ免除国が常に申請対象になるわけではありません。韓国政府は観光需要の回復などを目的として、一部の国・地域を一時的な申請免除の対象としています。日本もその対象に含まれており、2026年12月31日までは申請なしで渡航できます。

申請料金と有効期間

K-ETAの申請料金は1万ウォンで、オンライン決済手数料が別途かかります。審査結果にかかわらず、原則として返金されません。(日本円で約1,100円、為替レートにより変動)
認証の有効期間は、取得日から3年間、またはパスポートの有効期限までです。有効期間内であれば、原則として複数回の渡航に利用できます。
1回の滞在可能日数は、旅行者の国籍やビザ免除協定によって異なります。(日本国籍者は90日以内の滞在が可能)

課題

K-ETAの大きな課題の一つが、制度の変更によって旅行者が混乱しやすいことです。
日本国籍者の場合、制度導入当初はK-ETAが必要でしたが、その後、一時的な申請免除の対象となりました。免除期間も延長されているため、「現在は必要なのか」「いつから再び必要になるのか」が旅行者に伝わりにくい状況があります。
また、公式サイトを装った申請代行サイトやフィッシングサイトも問題になっています。本来の料金は1万ウォンですが、代行や優先審査をうたい、高額な手数料を請求するサイトがあります。K-ETAには特定の申請を早める「特急審査」はなく、公式サイトや公式アプリから申請することが重要です。
さらに、K-ETAの取得を免除されている旅行者は、原則として別途入国カードの提出が必要です。一方、自主的にK-ETAを取得すれば、入国カードの提出が免除されるため、旅行者は費用と入国手続きの利便性を比較して判断することになります。

日本版ESTA(JESTA)とは

JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)は、日本へビザなしで渡航する外国人を対象とした電子渡航認証制度です。
対象となる旅行者は、日本へ出発する前にオンラインで個人情報や渡航目的などを申告し、事前に渡航認証を受けます。日本に到着してから確認するだけでなく、入国審査の一部を出発前へ前倒しする仕組みです。
政府は、不法滞在などを目的とする外国人の入国を事前に防ぐとともに、空港での入国審査を円滑化することを目的として、2028年度中の導入を目指しています。なお、JESTAは制度設計が進められている段階であり、具体的な申請方法などは今後決定されます。

対象となる旅行者

主な対象として想定されているのは、観光などの短期滞在を目的に、ビザを取得せず日本へ渡航する外国人です。
現在、日本は一部の国・地域に対して短期滞在ビザを免除しています。こうした国・地域の旅行者は、現行制度では事前にビザ審査を受けることなく日本へ出発できますが、JESTA導入後は、ビザの代わりに出発前の渡航認証が必要になると考えられます。
観光客だけでなく、短期の商用や親族訪問など、ビザ免除制度を利用して日本を訪れる旅行者も対象となる可能性があります。また、クルーズ船で日本へ入港し、観光のために上陸する旅行者なども対象として検討されています。
一方、もともと日本への入国にビザが必要な国・地域の旅行者は、すでにビザの発給段階で事前審査を受けるため、基本的にはJESTAではなく、従来どおり目的に応じたビザを取得することになります。

申請料金と有効期間

現時点では、JESTAの申請料金や認証の有効期間は公表されていません
アメリカのESTAやカナダのeTA、韓国のK-ETAでは申請時に手数料がかかり、一度認証を取得すれば一定期間、複数回の渡航に利用できる仕組みが採用されています。そのため、JESTAでも同様の制度設計になる可能性がありますが、料金や有効期間を含む詳細は、今後の政府発表を待つ必要があります。
また、認証が有効であっても、パスポートを更新した場合には再申請が必要になるなど、パスポート情報と連動した制度になることも考えられます。ただし、これらも現時点では確定していません。

海外事例から考える、日本版ESTAの設計

アメリカのESTA、カナダのeTA、韓国のK-ETAを比較すると、電子渡航認証制度の基本的な考え方は共通しています。
ビザ免除対象国の旅行者に対して出発前にオンライン申請を求め、問題のある旅行者だけを事前に確認することで、水際対策と入国審査の効率化を図る制度です。
一方で、申請料金や有効期間、対象となる交通手段などは各国で異なります。つまり、制度の目的は同じでも、国の事情に合わせて設計されていることが分かります。

そこで、海外事例を踏まえると、日本版ESTA(JESTA)は次のような制度設計が望ましいのではないでしょうか。

提案① 金額設定はやや高めに。ただし負担感への配慮も必要

JESTAの申請料金は、制度の運営費や安全対策の財源を確保するため、2,000〜3,000円程度のやや高めの設定も選択肢になるでしょう。
アメリカのESTAも21ドルから40ドルへ段階的に引き上げており、円安の状況を考えれば、欧米の旅行者にとって数千円の負担はそれほど大きくない可能性があります。
一方で、日本を訪れる旅行者にはアジア圏からの旅行者も多く、同じ金額でも国や地域によって負担感は異なります。
欧米の制度だけを基準にするのではなく、主要な訪日市場の所得水準や旅行予算も踏まえ、訪日をためらわせない範囲で金額を設定することが重要です。

米国は客数ではなく、観光消費額に振り切っているようにも感じます。
以下の記事も参考にしてください。

提案② 入国管理だけでなく「旅の入口」として設計する

多くの国では、電子渡航認証は「申請して終わり」です。
しかし、日本なら認証完了後に、

  • 地域のモデルコース
  • マナー案内
  • 災害時の情報
  • 地方へのアクセス

などを提供することで、JESTAを最初の観光案内所にできます。
旅行者が最初に接触する日本のデジタルサービスだからこそ、単なる審査画面で終わらせるのはもったいありません。

偽サイト対策を制度開始と同時に進めるも重要

アメリカやカナダでは、公式サイトを装った高額な申請代行サイトによるトラブルが発生しています。
日本版ESTAでも、制度開始と同時に公式サイトの周知や旅行会社・航空会社との連携を進めることが重要です。
旅行者が迷わず正しい申請先へたどり着ける環境を整えることも、安心して訪日できる観光体験の一部になります。

JESTAは「入国審査の仕組み」だけではなく、日本と旅行者をつなぐ最初の接点になるかもしれません。
制度そのものだけでなく、その先の体験まで見据えた設計が期待されます。

※観光ONEでは、情報の提供を目的としており、公平性を心がけて執筆しています。
特定の国、地域、組織、政策、または個人を擁護したり、批判したりする意図は一切ありません。
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  • この記事を書いた人

上野 颯

観光イベント企画・添乗員

愛知県一宮市生まれ、岐阜市育ち
中学生で最年少の観光案内人としてデビュー。
旅行会社やIT企業での経験を経て、公立高校商業科(観光ビジネス)の講師や自治体への観光戦略の立案、ローカル鉄道の列車企画・ツアーの企画など、多岐にわたる活動を展開しています。

「観光の未来をもっと、おもしろく」をテーマに、観光業界で働く皆さまに〝若者目線〟も入れながら役立つ情報を発信しています。


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