2025年2月12日、観光庁の公式サイトより、「観光DX推進による地域活性化モデル実証事業」の公募内容が発表されました。
今回は、観光DX推進による地域活性化モデル実証事業の公募の内容や、詳細、対象者、スケジュールなどを紹介します。
旅行者の利便性向上や観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化のため、観光DXに取り組む事業者の方は、ぜひ以下を参考にしてください。
当記事は、「観光DX推進による地域活性化モデル実証事業」(観光庁)をもとに観光ONEが独自にまとめたものです。
本事業は、補助金や交付金の類ではなく、観光庁における調査事業の一環として行うもので、新規性のある取組や対象エリア・事業規模(連携事業者の範囲)等の拡大が見込まれる取組が対象です。
事業の目的
観光は地方創生の鍵であり、観光庁ではDXを活用して観光地や観光産業の課題解決を進めています。
しかし、DXの取り組みは十分に進んでおらず、地域ごとに独自の観光アプリや宿泊管理システムを導入するなど、地域間・事業者間の連携が不十分で収益の最大化が難しい状況です。
そこで、「稼げる地域・産業」を全国で実現し、持続可能な観光地域づくりを進めるため、①地域活性化の好循環モデル、②生成AI活用モデル、③オープンデータ推進モデルの3つの事業を募集し、地域全体の消費拡大やリピーター獲得、観光業の生産性向上を目指します。
補助対象となる取組
令和7年度は、以下の3つのテーマのいずれかについて、先進モデルの構築に取り組む事業を募集しています。
もちろん3つのテーマについては、重複しての申請も可能です。
地域活性化の好循環モデル
持続可能な観光地域づくりのため、訪日外国人を含む旅行者や観光産業のデータをDMPで収集・活用し、旅行消費額の向上を図ります。さらに、データのオープン化を通じて新規参入や投資を促し、消費拡大や雇用環境の改善につなげ、地域経済の好循環を生み出していきます。これに向け、DMPの構築に留まらず、データ分析と具体的施策で地域活性化の好循環モデルの創出に取り組む提案を募集します。

生成 AI 活用モデル
生成AIは、観光地や観光産業の業務効率化や経営高度化に貢献する可能性があります。
観光庁は令和6年度に全国6地域で調査を実施し、観光案内所での問合せ対応に多くの時間を要する課題に対して、生成AIを活用した回答案で業務効率化を図る事例や、訪日外国人旅行者の口コミデータを含む多様なデータが十分に分析されず、観光施策に活かせていない課題に対して、生成AIによるデータ分析とマーケティング施策の立案による経営高度化の事例、宿泊業の業務改善事例などに取り組みました。
令和7年度は、観光資源の多言語発信、需要予測、混雑分析、食品廃棄削減など、生成AIを活用した幅広い課題解決策を募集し、支援します。
【生成AIの活用例】
- 観光地等における映像認識技術を組み合わせた待ち人数の分析~最適化
- 観光地等におけるインバウンド消費動向調査の個票データ等の分析・施策の提示
- 観光地等における観光資源の魅力が伝わる多言語での情報発信案の提示
- 観光案内所等における多言語での問合せの返信や掲示物・配布物の更新案の提示
- 観光案内所等における問合せ等への自動返信による対応時間の拡大~最適化
- 観光案内所等における音声認識技術を組み合わせた問合せの分析~最適化
- 観光案内所等における病院受入・災害・交通障害等に関わる情報収集の円滑化
- 施設等における OCR 等の文字認識技術を組み合わせた記録の分析~自動化
- 施設等における食品廃棄量等の分析による仕入量の改善案の提示~最適化
- 施設等における口コミ分析による販売プラン等の改善点の分析~最適化
- 施設等における大浴場・レストラン等の混雑状況等に応じた情報収集~最適化

オープンデータ推進モデル
観光地経営の高度化には、旅行者の移動・決済、宿泊・予約などのデータを収集するだけでなく、それを可視化し、オープンデータとして公開することが重要です。地域における旅行者の動向をデータ化・公開することで、事業者は仕入れや人員配置の最適化、収益向上を図れます。
駐車場の満空情報やタクシーの待ち人数を可視化するなど、旅行者の利便性向上や消費拡大につなげる取組を募集します。
これらの取り組みに際して、DMP等と接続するシステム導入・連携も対象となります。
ただし、既に公開されている国・地方公共団体の統計等のデータのオープンデータ化といった取組は対象外となります。

(参考)観光DXの先進事例
・福井県
データを活用したマーケティング活動に取り組み、「観光地経営の高度化」や「観光業界の生産性向上」におけるモデルコースを造成。
例えば、あわら温泉エリアの宿泊予約情報をオープンデータ化することで、周辺事業者は仕入れや人員手配等に役立てられます。
宿泊事業者は、ダイレクトプライシングができるため稼働率UPや消費額の向上に繋げることができます。
ほかにも、人気施設である恐竜博物館を事前予約制にすることで、事前に人流を把握しています。
これにより、周辺事業者の仕入れや人員手配へ役立てるほか、警備員の数も調整でき、渋滞を軽減することにも繋がっています。

※クリックで拡大できます。
補助対象
本事業の対象となる応募者は、次の全ての条件を満たす者となります。
- 本事業では、地域課題の抽出・解決策の提示、地域等での合意形成・体制構築、デジタル技術の活用、事業の自走化・マネタイズ等の地域内外の連携による多様な取組を求めることから、原則、企業等(企業、地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、宿泊施設等をいう)からなるコンソーシアムでの応募であること。
- コンソーシアムは、代表を決め当該機関が代表して応募することとし、本事業を遂行する責任を負うこと。
- コンソーシアムのいずれの企業等も予算決算及び会計令(昭和 22 年勅令第 165 号)第 70 条及び第 71 条の規定に該当していないこと。
- コンソーシアムのいずれの企業等も、国土交通省からの補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている者ではないこと。
- コンソーシアムのいずれの企業等も、過去3年以内に情報管理の不備を理由に観光庁との契約を解除されている者ではないこと。
- コンソーシアムのいずれの企業等も、暴力団又は暴力団員の統制の下にある団体ではないこと。
補助額
本実証事業の規模(国費による部分)については、以下のようになります。
①地域活性化の好循環モデルは1事業あたり 5,000万円を上限
②生成 AI 活用モデル・③オープンデータ推進モデルは1事業あたり 1,000万円を上限
ただし、採択件数の多寡や、採択過程において、有識者からのヒアリングの結果等を踏まえた上で、事業内容・事業費を調整されます。
補助対象経費
- 人件費
事業計画書・報告書等の作成、サービス開発、実証実験、分析・評価、先進モデルの構築等に従事する者の人件費。 - 旅費
本実証事業を行うために必要な出張に係る経費。 - 謝金
本実証事業を行うために必要な謝金(例:会議等に出席した外部専門家等に対する謝金) - 借料及び損料
本実証事業を行うために必要な機械器具、会場、物品等のリース・レンタルに要する経費。 - 消耗品費
本実証事業を行うために必要な消耗品(例:紙、封筒、ファイル、文具用品類)の購入に要する経費。
ただし、当該事業のみで使用されることが確認できるものに限ります。 - その他諸経費
本実証事業を行うために必要な経費のうち、当該事業のために使用されることが特定・確認できるもの。
ただし、光熱水料(例:電気、水道、ガスの料金等)や振込手数料等、対象外となるものがありますので注意してください。
以下のような経費は、補助対象外となります。
- 建物等施設の建設・改修に関する経費
- 本実証事業の内容に照らして当然備えているべき機器・備品等(例:机、椅子、書棚等の什器類、事務機器等)
- 事業実施中に発生した事故・災害の処理のための経費
- 国、都道府県、市町村等により別途、同一活動の経費に対して補助金、委託費等が支給されている活動に関する経費
- 恒久的な施設の設置及び大規模な改修に係る費用、耐久消費財及び用地の取得等の本
- 実証事業の範囲に含まれない経費
- 営利のみを目的とした活動に関する経費
- コミュニティファンド等への初期投資(シードマネー)及び出資金
- 親睦会に係る経費
- 国の支出基準を上回る謝金費用
- 本事業の申請に要した費用
- その他事業と無関係と思われる経費
公募期間
①地域活性化の好循環モデル:
令和7年2月 12 日(水)〜令和7年3月 31日(月) 17:00
②生成 AI 活用モデル及び③オープンデータ推進モデル:
令和7年2月 12 日(水)〜令和7年3月 26 日(水) 17:00
事業の流れ
本事業の流れ | スケジュール |
---|---|
①公募期間 | ※モデルにより公募期間が異なります。 ①地域活性化の好循環モデル 令和7年2月 12 日(水)〜令和7年3月 31 日(月) 17:00 ②生成 AI 活用モデル及び③オープンデータ推進モデル 令和7年2月 12 日(水)〜令和7年3月 26 日(水) 17:00 |
②審査 | 5月頃に実施予定の有識者等により構成される選定委員会において選定を実施。 |
③実施期間 | 原則として、採択後1ヶ月以内に事務局との契約又はそれに準ずる手続を交わした時点から令和8年1月 31 日までの期間を経費形状の期間とする。 ※、個別の事情に鑑み、この期間外の取組についても対象とする必要があると観光庁が認めた場合は、この限りではありません。 |
④事業完了 | 実証事業者は、事業完了後1週間以内に実証成果報告書や経費内訳報告書等を提出してください。 本実証事業終了後も、令和7年度末に開催を予定している成果報告会において本実証事業の成果を報告していただくことや、令和8年度以降においても、事業成果等の継続的な活用や、展開の進捗について継続して調査する予定です。 |
審査のポイント
① 事業内容の理解度
「稼げる地域・稼げる産業」の実現に向けて地域全体の消費拡大、訪日外国人旅行者を含む誘客・再来訪促進、観光産業の収益・生産性向上等に寄与する内容となっていること。
② 提案内容の的確性
課題解決に取り組むにあたり、デジタル技術等を活用した施策・サービスが観光地・観光産業に与える影響が明確かつ具体的に示されていること。
デジタル技術を活用した施策の実施期間が十分に確保され、期間内に想定されるリスクとその対処も含め、計画が策定されていること。など
③ 提案内容の独創性
⼀定の知識や経験に基づき、将来に向けて転換・変容させていくことが望ましい領域が特定され、将来のニーズや課題に実証事業が適用され機能すること。
(思いつきでなく成果)を通じて、地域に新しい付加価値を生み出す内容となっていること。など
④ 事業遂行の確実性
本実証事業を進める上で、地域での合意形成や関係する事業者の巻き込みが円滑に進むよう、必要となる地域・事業者との連携・調整等が取れていること。など
注意事項
本実証事業の一部を実証事業者以外の者に委託する場合には、事前に観光庁に可否を確認する必要があります。
また、主たる業務の多くの部分を実証事業者以外の者に委託することはできません。
補助事業の内容の詳細は、
必ず観光庁公式の公募要領等をご覧ください。
観光DXの先進事例はこちらが参考になります。