インバウンド デジタル マーケティング

失敗しないためのインバウンド向けホームページの作り方とコツ

2024年12月28日

※記事内に広告・PRを含む場合があります

インバウンド市場が拡大する中、外国人向けの情報発信は〝集客〟だけでなく、ターゲットのズレや現場の混乱を防ぐためにも重要です。
適切な情報を発信しないと、来訪者の期待と実態が一致せず、観光地やサービスに悪影響を及ぼすこともあります。

本記事では、観光事業者が外国人にとって使いやすいウェブサイトを作るための具体的な7ステップと成功事例を解説いたします!
これから外国人観光客の集客を強化したい方に役立つ内容となっています。

あまり予算がない小規模事業者でも大丈夫です。
いくら費用をかけるかよりも重要なのは、「いかに外国人目線で作れるか」です。

国ごとに、法律やサーバーの取り扱い方法、SEO対策の仕方が異なりますので、より深く知りたい方は、国別のホームページ成功手順もご覧ください。

【今すぐ実践!】インバウンド向けWEBサイト作成の7つの必須ステップ

ここから、インバウンド向けのWEBサイト構築手順を7つのステップに分けて解説していきます。
WEB制作会社に依頼する際には、「丸投げ」はNGです。

私は、WEB制作会社に在籍していたエンジニアでもありますが、
「WEB制作会社 = インバウンド集客のプロ」ではありません。
〝高額な制作費用を払っただけ〟という最悪な状況にならないためにも、せめてステップ③までは観光事業者が中心となって行うことを強くオススメします

① ターゲット選定

まず最初にターゲットを明確に決めましょう。
マーケティング領域で用いられる〝ペルソナ〟のように、性別や年齢層だけでなく、生い立ちや学歴、職歴、年収、ライフスタイル、家族構成、趣味嗜好、特技、価値観などを明確に出来るのが理想です。
ペルソナとまではいかなくても、以下の内容は最低でも明確にしておきましょう。

ターゲットを明確にしないままサイトを作成すると、内容や翻訳言語がズレて訪問者に響かないだけでなく、検索エンジンの選定ミス等で集客効果が大幅に低下します。
また、ユーザーが求める情報に応えられないサイトは、閲覧時間が短くなり検索順位が下がる原因にもなります。

クリックで拡大できます。

【例】旅館の場合

国籍と地域 韓国
(根拠)町に来ている外国人で最も多いのが韓国人であることと、SNSを通して知った方からの問い合わせが増えているため。
目的 客室露天風呂付きの部屋が、近隣の旅館に比べてリーズナブルなところが選ばれる理由として大きい。
年齢層 20代(当館ではカップルが多い)
(年齢層の特徴)限られた予算の中で最大限楽しむという工夫をしている。カップルのうちどちらかが初めて日本に来るというパターンが多い。
興味・関心 男性がエスコートすることが多く、誕生日などの記念日での旅行も多い。
記念日=当館 というブランドを作る。
行動パターン 情報収集の方法は、SNSで知り、検索する流れ。
予約は、メールが8割を占めるが、Google翻訳をしながら何とか返信している形となっている。
近年ドラマで人気になった湖が近くにあるため、当旅館にアクセスする人が多い。そのあとは、福岡方面へ行く人が多い。
言語 韓国語

・ホームページを見てほしいターゲットを明確にしてみましょう。

② サイト構成(ページ構成)

WEBサイト制作をしていると、9割以上のお客様がデザインを最重視しています。
しかし、経常利益の高いネット通販業者のサイトを見てみてください。決してデザインが特別に素晴らしいわけではありません。
たしかに観光業のサイトにとって、ワクワクするデザインは重要ですが、私は、どちらかといえば、デザインよりも、「内容」の方が重要だと考えています。
実際に、宿泊施設のホームページの不満の約7割を、「サイト構成」や「情報力不足」が占めています。

サイト構成は、ホームページ制作会社に丸投げせずに、お客様の声を誰よりも理解している事業者自身が取り組む必要があります。
もちろん、ホームページ制作会社と一緒に、ノウハウを借りながらでもいいと思います。
どちらにしても、事業者様自身がメインとなって「サイト構成」を組み立てるようにしてみましょう。

簡単!サイト構成(ページ構成)はこう作る!

実際に、サイト構成(ページ構成)を作成してみましょう!
決して難しいものではありませんし、0から作る必要もありません。
むしろ0から作ると、必要なページが抜けてしまう可能性があるのであまりオススメしません。

ページ構成の完成形

同業者のサイトのページ構成を3〜5つ洗い出してみましょう
どのサイトも意外と同じようなページ構成になっていることが分かります。
これらは「基本型」となるもので、まさにお客様が最低限に求めている情報です。
特に大手の同業者や集客に成功している同業者は、ホームページに時間をかけて取り組まれていることが多いので、必ず参考にしてみます。

この他に、自社ならではのページが必要ではないかを検討してみましょう。

外国人が思わず「これは便利!」と感動するページ構成の作り方

外国人があなたのサイトにどんな情報を求めてきているかを知る方法があります。
それは、「よく検索されているキーワードを知ること」です。
本来であれば、既存サイトの分析などを通して正確にニーズを把握することが理想ですが、ここでは、検索ニーズから需要を予測する方法を紹介します。

ラッコキーワードにアクセスします。

あなたの施設の名前で、キーワード分析をしてみましょう。

検索結果が、あまり出なかった場合は、もう少し範囲を広めて検索してみましょう。
(例)「観光ONE旅館」で出なかった場合 → 「〇〇温泉」(温泉街の名前)・「〇〇市 観光」など。

「下呂温泉」でラッコキーワード検索した例

白川郷との位置関係や、食事に関心が高いことが分かる。
→ アクセスページに、白川郷との位置関係を明記する。食事ページを充実化する

思わぬ検索ニーズが見つかった場合は、ぜひサイト内に情報を加えてみてください。
旅行者の満足度がアップしますよ!
(可能であれば、ターゲットの言語で検索してみるのもいいと思います)

・サイト構成は、お客様のニーズを最も理解している事業者がメインとなって作成しよう。
・サイト構成は、大手の同業者や成功している同業者を中心に、3〜5社ほど洗い出してみましょう。
・ラッコキーワードなどのツールを使って、検索ニーズからもお客様が求めている情報を探ってみましょう。

ホームページでは、あまり奇を衒ったりせずに、王道に行った方がお客様にとって使いやすいサイトになります。

③ ワイヤーフレームの作成

次にワイヤーフレームを作成します。
ここまでが、私が観光事業者がメインとなって取り組んで欲しいステップになります。

一番の理想は、このワイヤーフレームが出来てから、WEB制作会社に依頼して、WEBのプロ目線で意見を聞いてみるといいと思います。
マーケティングの最高峰とも言われる化粧品業界では、ワイヤーフレームまでは自分たちで作るというのが当たり前です。
お客様のことを誰よりも知っている事業者の想いがのったホームページこそ、伝わる魅力的なホームページになるのです。

WEB制作会社に伝わる!ワイヤーフレームはこう作る!!

ワイヤーフレームとは、ウェブサイトの「設計図」のようなものです。
完成したページを作る前に、どこに何を配置するかをシンプルな図で表したもので、レイアウトや構成を視覚的に確認できます。
例えば、「ここに写真を置いて、その下に説明文を入れる」といった配置を具体的に決めるためのものです。

テキストのみで表現をしてもいいですが、可能であれば図形なども用いるといいでしょう。
ちなみにキャッチコピーなども、なるべくこの段階で決めておきます。

(お役立ち資料:言葉1つで集客力が変わる!ホームページやチラシで使えるキャッチコピー集)

・「ここにこれを配置したい!」など、頭の中のイメージをワイヤーフレームに落とし込んでみましょう。

④ デザイン

いよいよ、デザインの段階です。
デザインが出来上がると、サイトの完成イメージが見えてきて、完成が待ち遠しくなります。

集客力を左右する!デザインはプロに任せるべき理由

「よく予算がないので、自分でデザインをする」という人がいますが、これはオススメできません。

1枚1万円のデザイナーから、1枚10万円のデザイナーに切り替えたら、問い合わせが10倍伸びたという声を聞いたことがあります。
ページを見た人が、「行きたい!!」と思うような魅力的な画像や色、配置にするためには、多少の予算を出してもいいと思います。

私の持論としては、内容(ページ構成・ワイヤーフレーム)には「時間」をかけて、デザインには「お金」をかけるべきだと思っています。

画像引用:下呂温泉 水明館
画像引用:小泊Fuji

サイトデザインの参考事例

⑤ 翻訳

デザインと同時に、もしくデザイン完成後には、「翻訳」も用意しましょう。

翻訳もしっかりとプロを入れるべきです。
文言を直訳する翻訳者ではなく、外国人に伝わるように翻訳をしてくれる人に依頼しましょう。

外国人目線はここまで違う?!
翻訳文の違い
画像の違い:伏見稲荷神社の事例

⑥ コーディング(構築)

ここまで出来たら、サイト構築を始めていきましょう。
サイト制作に慣れていない人が、デザイン通りに構築するのは困難なので、このステップもプロに依頼するのがいいと思います。

ただし、多言語サイトの場合には、注意点があります。
インバウンドや海外向けサイトの経験があまりないWEB制作会社の場合、この多言語サイトの基礎を知らずに作ってしまうことがあります。
そうなると、ターゲットに届かない〝作っただけ〟のサイトに終わってしまいますので、依頼する側としても理解しておきましょう。

翻訳するだけではダメ!多言語サイトの基礎知識

多言語サイトを構築する際、単にテキストを翻訳するだけでは、海外の検索エンジン(例えば、中国のBaidu、韓国のNaverなど)に自動的にインデックスされるとは限りません。

検索エンジンの違い

日本国内で主流のGoogleやYahoo!とは異なり、海外では地域特有の検索エンジンが利用されています。例えば、

  • 中国: Baidu
  • 韓国: Naver
  • ロシア: Yandex

これらの検索エンジンは、それぞれ独自のインデックス方法やSEOアルゴリズムを持っています。そのため、日本のGoogle向けに最適化されたページが、これらの検索エンジンで同じように評価されるとは限りません。

適切なホスティングやドメインの利用

多言語ページを作成しても、サイトがターゲット地域に適したサーバーでホスティングされていなかったり、地域専用のドメイン(例: .cn, .kr, .ru)が使用されていない場合、現地の検索エンジンでの評価が低くなることがあります。
例: 中国向けサイトを作成する場合、Baiduは中国国内のサーバーを優先する傾向があります。

クロールとインデックスの障害

多言語サイトでは、以下の点が検索エンジンのクロールを妨げる原因となります。

  • robots.txtの設定ミス: ターゲット地域向けのページがクロール禁止になっている場合があります。
  • 動的URLの問題: URLが動的に生成されている場合、一部の検索エンジンでインデックスされないことがあります。
  • 言語別のサイトマップの不足: 各言語ページを明示的に検索エンジンに知らせるためのサイトマップがないと、インデックスの漏れが発生します。

hreflang属性の不足

検索エンジンが多言語ページを正しく認識するためには、「hreflang属性」の設定が不可欠です。この属性が設定されていないと、検索エンジンが異なる言語ページを別々のページとして認識しない場合があります。結果として、ターゲット地域での適切な検索結果に表示されません。

多言語サイトには、専門知識が必要です。
必ず多言語サイトに豊富な経験を持つ制作会社に依頼しましょう。

予約システムの構築

0から構築することもできますが、セキュリティの危険やトラブルにも繋がります。
専用の予約サービスを利用することで、自社のサイトに予約システムを埋め込むことが可能です。

ここでは、代表的な予約システムを一部ご紹介いたします。

tripla(トリプラ)

Tripla株式会社が開発した「triplaホテルブッキング」は、次世代型の宿泊予約システムとして、自社予約率の向上を目指す宿泊施設向けに設計されています。
[最短4クリックで完了する予約機能] [OTA価格を自動取得し最安値を提示するベストレート機能] [会員管理機能] [プロモーションツール]など、多彩な機能を備え、お客様の予約機会を逃さず、リピーターへとつなげるサポートを行います。
また、言語によってルームチャージと人数チャージを変更したり、プランの出し分けをしたりできるほか、航空券とのセットで販売するダイナミックパッケージ機能を搭載。インバウンド需要の高い宿泊施設に適しているサービスです。

対応言語日本語・英語・中国繁体字・中国簡体字・韓国語

高額になりがちなCRMサービスですが、宿泊施設に特化したサービスなので、月に1万円程度で利用できるのがメリットです。

tripla公式ページ

予約番

予約番では、ホテルや旅館のイメージに合わせて選べる30通りのデザインを提供。5種類のレイアウトと6種類のカラーパターンを自由に組み合わせて、施設独自の雰囲気を演出できます。
また、予約導線にも工夫が施されており、全画面遷移を排除することで離脱を防ぎ、わずか3ステップで予約が完了するスムーズな体験を実現。
さらに、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、タイ語、ドイツ語、フランス語、マレーシア語の計8言語に対応可能。
インバウンド対応に特化し、外国人旅行者も使いやすい予約画面を提供することで、海外からの集客力アップを狙えます。

初期費用が30,000円ほどかかるのでハードルは高いですが、アップセル(グレードアップの提案)やクロスセル(追加購入の提案)機能があることは、客単価UPに繋がるため大きなメリットです。

対応言語英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、タイ語、ドイツ語、フランス語、マレーシア語

予約番公式ページ

⑦ SEO対策について

多言語サイトのSEOは、指名検索(ブランド名や施設名などの特定の名前で検索されること)がある場合と、指名検索がない場合でアプローチが異なります。

指名検索がある場合

例: 「ABCホテル」や「XYZ温泉」といった名前で検索されるケース。
この場合、検索エンジンで適切に表示されることが最優先です。

対策ポイント

  • 公式ページが検索上位に表示されるよう最適化
    サイトタイトルやメタディスクリプションに指名検索キーワードを含めます。例: 「ABCホテル|公式サイト|お得なプラン予約」
  • hreflang属性の活用
    各言語ごとのページを明示し、ターゲット地域のユーザーに適切なページを表示させます。
  • 現地ドメインの活用
    指名検索を行うユーザーに現地の検索エンジンで公式ページが上位に表示されるよう、ローカルドメイン(例: .cn, .kr)やホスティングを検討します。
  • ローカル検索エンジン最適化
    現地検索エンジン(BaiduやNaverなど)用のSEOを実施します。特に、指名検索で公式ページが競合より上位になるよう最適化します。
指名検索がない場合

例: 「富士山の近くの宿泊施設」や「温泉付きのリゾートホテル」など、特定のブランド名ではなく一般的なキーワードで検索されるケース。

対策ポイント

  • ターゲットユーザーの検索意図に合ったキーワード選定
    各国の検索トレンドを調査し、具体的なキーワード(例: "Mt.Fuji hotel", "hot spring resort in Japan")を選びます。Googleキーワードプランナーや現地のSEOツールを活用するのがおすすめです。
  • ロングテールキーワードを活用
    一般的なキーワード(例: "hotel in Japan")だけでなく、詳細なキーワード(例: "family-friendly ryokan near Tokyo")を狙い、競合を避けながらターゲットユーザーにリーチします。
  • コンテンツの現地化
    翻訳だけでなく、現地の文化やニーズに応じたコンテンツを作成します。例: 日本の「温泉」の魅力をフランス人向けに解説するときは、「リラックスやストレス解消」を強調するなど、価値観に合わせた情報を提供。
  • 質の高いバックリンクを獲得
    現地で信頼されるサイトやブログからのリンクを獲得することで、検索エンジンの評価を向上させます。

どのくらいの指名検索があるかは、「月間検索数」という指標を見ることでわかります。
ラッコキーワードのほか、アラマキジャケなどで調べることができます。

正しい知識でホームページを作れば、インバウンド集客が加速する!

インバウンド集客を劇的に加速させるには、魅力的で使いやすいホームページ作りが鍵です!

正しい知識をもとに多言語対応やターゲットに響くデザインを取り入れることで、外国人観光客の心を掴みます。
また、SEO対策を駆使して検索エンジンでの露出を最大化すれば、自然と訪問者が増加し、予約や問い合わせの数もぐんぐん伸びるはず。
サービスや施設の魅力を存分に伝えるホームページで、インバウンドの可能性を広げ、新たな成功の扉を開きましょう!

インバウンド向けホームページ制作

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(お役立ち資料)インバウンド向けWEBサイト作成 50のチェックリスト

※ご紹介しているサイトの中で、「(当社制作)」と書かれたサイトは当社の制作実績です。その他のサイトは当社の制作実績ではございませんが、デザイン性などが優れているため、事例としてご紹介させて頂きました。制作をされた制作会社様で、掲載の取り消しをご希望の場合は速やかに対処させて頂きますので、当社までご連絡くださいませ。

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  • この記事を書いた人

上野 颯

添乗員・観光イベントの企画者

1998年 愛知県一宮市生まれ、岐阜市育ち
中学生で最年少岐阜市まちなか案内人デビュー。観光ビジネスの高校を卒業後、地元の旅行会社に入社。
カリスマ添乗員・平田さんに学びながら、ツアーの企画・添乗に従事し、 2019年には「添乗員上野と行くツアー」初企画。
コロナ禍で旅行予約が0になったことを機に、観光DXの重要性を感じ、IT技術を広く習得。
2023年、株式会社aini-kuを設立。

公立高校 商業科(観光ビジネス)臨時講師、観光コンテンツの企画、バスツアーの企画などを行っています。
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