インバウンド

【データで見る】富山県のインバウンド市場を徹底解説!外国人観光客の訪問ルート・宿泊状況・最新トレンド

2025年8月30日

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富山県のインバウンド市場

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富山県の人気観光地

富岩運河環水公園

※イメージ

富岩(ふがん)運河環水公園は、富山県富山市にある代表的な都市型水辺公園です。富山駅から徒歩9分という立地と、「世界一美しいスタバ」があることから外国人観光客にも人気となっています。

富山市ガラス美術館

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富山市ガラス美術館は、世界的建築家・隈研吾設計の建築美と現代ガラス作品を楽しめる文化拠点です。富山が目指す「ガラスの街」の集大成として整備されました。
2025年にはアメリカのニューヨーク・タイムズが富山市を「混雑を避けて文化的な感動と美食を楽しめる」街として紹介する際に、富山市ガラス美術館をその象徴として取り上げたことで、海外からの注目度が高まりました。

立山黒部アルペンルート

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立山黒部アルペンルートは、富山県と長野県を結ぶ山岳観光ルートで、標高3000m級の立山連峰を横断します。
トロリーバス・ケーブルカー・ロープウェイなど多彩な乗り物を乗り継ぎ、雪の大谷、黒部ダム、立山の絶景を体感できます。世界的にも珍しい山岳ルートとして人気が高く、春の雪壁、夏の高山植物、秋の紅葉と季節ごとの魅力を楽しめるのが特徴です。国内外から多くの観光客が訪れる日本屈指の山岳リゾートです。

雪の大谷

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雪の大谷は、立山黒部アルペンルートの室堂(標高約2,450m)に春先だけ現れる豪雪の回廊です。冬の積雪が20m近くに達することもあり、除雪によってできる巨大な雪壁の間を歩ける体験は世界的にも珍しく、圧倒的なスケール感から海外観光客にも人気です。毎年4月中旬〜6月頃に公開されます。

黒部ダム

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黒部ダムは富山県立山町にある日本最大級のアーチ式ダムで、黒部川上流に建設されました。
高さ186mの巨大な構造物から放水される様子は迫力満点で、夏期限定の観光放水は名物イベントとなっています。建設には「世紀の大工事」と呼ばれる困難が伴い、今も映画やドラマで語り継がれています。

相倉合掌造り集落

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相倉(あいのくら)合掌造り集落・菅沼合掌造り集落は、富山県南砺市にある世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」のひとつです。
急勾配の茅葺き屋根を持つ合掌造り家屋が合わせて30棟ほど残り、今も人々の生活が営まれているのが特徴です。山間の静かな環境にあり、四季ごとに美しい景観を楽しめます。冬の雪景色や夜間ライトアップは特に幻想的で、白川郷よりも観光客が少なく落ち着いて散策できる点も魅力です。

砺波チューリップ公園

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砺波チューリップ公園は、富山県砺波市にある日本最大級のチューリップ公園です。
毎年春には「となみチューリップフェア」が開催され、約300万本・300品種以上のチューリップが咲き誇ります。夜間ライトアップや花の地上絵など多彩な演出も行われ、国内外から多くの観光客が訪れる北陸屈指のフラワースポットとなっています。

雨晴海岸

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雨晴(あまはらし)海岸は、富山県高岡市にある景勝地で、「日本の渚百選」にも選ばれています。
海越しに立山連峰を望む絶景が特徴で、晴れた日には海と3,000m級の山々が一望できる日本でも珍しい景観が楽しめます。義経岩や女岩などの奇岩も点在し、古くから歌枕として和歌や俳句に詠まれてきました。

富山県を訪れる外国人観光客数(宿泊客数)
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富山県内を訪れる観光客の数は2019年のコロナ禍前より増加しているのに対し、宿泊客数は減少している点は特筆すべき点です。

宿泊客数は地域経済に大きく貢献するため、観光客が訪れたメリットを地域がしっかり享受するためにも解消策を考えることが急がれます。

富山県を訪れる外国人観光客 国籍別割合
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富山県を訪れる外国人観光客 消費額の割合
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宿泊数が多くなくても、買物代が多ければ地域収入に繋がります。
しかし、富山県の場合は買物代も少ない点が課題となっています。

外国人の行動ルート・特徴ほか

台湾人観光客
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基本データ
20192024
訪問率4.2%2.7%
1人1回あたり
消費単価
6,385円9,744円
平均泊数1.0泊1.1泊
観光ルート・特徴

台湾人観光客にとって、立山黒部アルペンルートは憧れの観光地のひとつであり、人気観光ランキングでも上位に位置しています。
特に「雪の大谷」をはじめとする雪景観は強い訴求力を持ち、開通シーズンに合わせて訪日客数が増加する傾向が見られます。

また、富山空港には台湾からの直行便があるものの、多くの旅行者は小松空港や中部国際空港を利用し、岐阜県・石川県・長野県を含めた広域観光を楽しむケースが一般的です。このため、富山は単独目的地というよりも、北陸・中部を結ぶ広域周遊ルートの重要な拠点として位置づけられています。

台湾人観光客の人気観光地ランキング
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台湾人観光客の特徴を詳しく知りたい方はこちら。

中国人観光客
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基本データ
20192024
訪問率0.3%0.6%
1人1回あたり
消費単価
20,902円38,489円
平均泊数1.7泊1.6泊
観光ルート・特徴

富山県を訪れる中国人観光客は、日本へのリピーター層が多い点が特徴です。
立山黒部アルペンルートをはじめ、「世界一美しいスターバックス」として注目される富岩運河環水公園、藤子F不二雄先生のゆかりの地である高岡、世界遺産の五箇山合掌造り集落など、観光資源の幅広さが支持されています。

近年では、東京や大阪からの延長ではなく、富山そのものを目的地とした旅行スタイルも増加しており、富山県単独での周遊傾向が見られるようになっています。これにより、宿泊需要や地域消費の拡大が期待されています。

最近では、富山県を2回、3回と訪れるリピーター観光客も増えています。

中国人観光客の特徴を詳しく知りたい方はこちら。

韓国人観光客
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基本データ
20192024
訪問率0.7%0.2%
1人1回あたり
消費単価
13,707円22,175円
平均泊数1.6泊1.4泊
観光ルート・特徴

富山県を訪れる韓国人観光客は、立山黒部アルペンルートを主目的とする旅行が圧倒的に多く、富山を目的地とした周遊傾向が見られます。
比較的若年層の比率が高く、滞在日数は短いものの、SNSでの発信を積極的に行う点が大きな特徴です。

また、富山空港の直行便の有無が来訪動向に直結しており、現在エアソウル便が運休中である一方、ティーウェイ航空によるチャーター便の導入が予定されています。今後の定期便再開や増便により、富山への観光需要拡大が期待されます。

韓国人観光客の特徴を詳しく知りたい方はこちら。

香港人観光客
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基本データ
20192024
訪問率2.2%1.7%
1人1回あたり
消費単価
17,375円22,142円
平均泊数1.5泊1.2泊
観光ルート・特徴

香港人観光客は日本へのリピーターが多く、一人当たりの旅行消費額も比較的高いのが特徴です。訪日経験が豊富なため、東京や大阪といった大都市にとどまらず、地方都市や新しい観光資源を求めて富山を訪れるケースが増えています。

香港ではドラえもんの人気が非常に高く、藤子F不二雄先生の出身地である高岡市は特に注目を集めています。氷見市内を走る「ドラえもんトラム」や藤子F不二雄関連スポットは、ファン層を中心に大きな集客効果を持っています。

また、富山単独ではなく、金沢、長野、飛騨高山といった近隣エリアと組み合わせて訪れる周遊傾向が強く、北陸・中部広域観光の重要な一翼を担っています。こうした文化・自然・コンテンツを組み合わせた周遊モデルは、香港市場への強力な訴求材料となっています。

香港人観光客の特徴を詳しく知りたい方はこちら。

課題

観光客がお金を落とさない(宿泊に繋がらない)

富山県はアルペンルートや雪の大谷など、魅力的な観光資源が多く、観光客が多く訪れているにも関わらず、宿泊や消費に結びつかない傾向があります。
観光客は金沢や高山、長野を拠点にし、富山は通過・立ち寄り地になるケースが多いです。
夜間観光や体験型プログラムを充実させ、滞在を促す仕組みを構築したり、県内での周遊コースの提案・広報が必要です。

具体的な数値で表すと、アルペンルートを訪れた6割以上が高山(岐阜県)を訪れているのに対し、
富山市への訪問は約5割・黒部市への訪問は約2割と、県内滞在につながってい
ない現状があります。

広域観光への依存

台湾や香港を中心とした観光客は、金沢・長野・飛騨高山といった有名観光地と組み合わせて周遊するケースが主流で、富山単独を目的地とする旅行は少数です。結果として県内での経済効果が限定的になっています。
富山ならではの観光資源を核にした「目的地型観光」の発信が必要です。アルペンルートや世界遺産に加え、氷見の魚食体験やガラス工芸体験など、富山独自の強みを打ち出すことで、単独訪問の動機を創出できます。

ここ最近は、中国人観光客において富山県に人気が高まっており、富山単独の観光が盛んになっています。
このチャンスをしっかり掴むための早急な施策が必要です。

情報発信の限定性

台湾や香港のリピーター層には一定の認知があるものの、欧米豪や東南アジアの新興市場に向けた発信力は限定的です。多言語対応やSNS活用も不十分で、観光資源の潜在力を十分に伝えきれていません。
市場別に適した媒体を活用し、動画・SNS・インフルエンサーとの連携を強化することが必要です。また、英語・タイ語・ベトナム語など多言語での情報提供を充実させ、富山ならではの体験価値を世界に直接訴求していく戦略が効果的です。

これからの富山県のインバウンド市場は?

これからの富山県のインバウンドには、大きな可能性があります。立山黒部アルペンルートや雪の大谷、世界遺産・五箇山合掌造り集落、富岩運河環水公園、氷見のドラえもんコンテンツなど、外国人に強く響く観光資源は豊富に揃っています。しかし、それらを有機的に結びつけ、富山ならではの魅力として体系的に発信できていないのが現状です。今後は「富山に来る理由」を明確に示し、体験やストーリーを通して観光客に届けることが重要となります。

また、金沢や長野、飛騨高山との広域ルートのなかで、“富山に泊まる価値”を高める戦略も不可欠です。例えば、富山湾の海の幸を活かしたガストロノミーツーリズムや、ガラス工芸や薬文化をテーマにした着地型体験、インフルエンサーを活用したSNS発信など、若年層やFIT(個人旅行者)に対応した取り組みが求められます。

「TOYAMAに行こう!」をキーワードに、立山黒部アルペンルートを中心としたTOYAMA ブランドをもっと世界に発信していきたいですね!

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  • この記事を書いた人

上野 颯

観光イベントプランナー・添乗員

愛知県一宮市生まれ、岐阜市育ち
中学生で最年少の観光案内人としてデビュー。
旅行会社やIT企業での経験を経て、公立高校商業科(観光ビジネス)の講師や観光戦略の立案、ローカル鉄道の列車企画・バスツアーの企画など、多岐にわたる活動を展開しています。

「観光の未来をもっと、おもしろく」をテーマに、このサイトでは観光業界で働く皆さまに役立つ情報を発信しています。

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