インバウンド 注目

【徹底解説】なぜ外国人観光客がこんなに増えているのか?インバウンド急増の理由を世界一分かりやすく解説!

2024年12月15日

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この記事を読んでいる方は、「どこに行っても外国人ばかり!!」と感じている方ではないでしょうか??
いやむしろ最近は、〝当たり前の風景〟と化しているかもしれません。

2019年の訪日外国人観光客数は、3,000万人を超えて過去最高を記録しました。
その後、新型コロナウイルス感染症の拡大で一時落ち込みましたが、2024年も7ヶ月連続で単月で過去最高を記録するなど、外国人観光客数が、コロナ禍前よりも多い状況となっています。

なかには、外国人観光客(インバウンド)の増加にマイナスイメージを持つ人もいるかと思います。
もちろんインバウンドの増加による弊害や悪質なマナーの悪い観光客など、早急に解決すべき課題となっているのも事実です。

しかし、これからの日本にとって「訪日外国人観光客(インバウンド)」が非常に重要なキーワードになるのです。

この記事では、インバウンドがなぜ急増しているのか、これからどうなるのかについて、世界一分かりやすく解説していきます!

画像を盛りだくさんで解説します!

「どこを見ても外国人観光客!」急増するインバウンド需要のリアルな現状とは?

インバウンドの現状

そもそも外国人観光客って、年間にどのくらい来ているかご存知でしょうか?

答えは、年間3,100万人です。(2024年推定値)

コロナ禍では一時落ち込みましたが、2024年からは大きく巻き返し、過去最高となった2019年を超える勢いとなっています。

次に、インバウンドが日本で消費する金額はいくらでしょうか??

答えは、約8兆円です。(2024年推定値)
インバウンド産業は「外貨獲得産業」とも呼ばれ、この年間消費額分〝海外からお金を稼いだ〟と言えます。

目標

観光庁では、インバウンドについて「観光客数」と「年間消費額」の2つの視点から、次の目標を掲げています。

まず外国人観光客数は、2030年までに6,000万人」を目指します。

世界一の観光大国であるフランスの年間観光客数は、約1億人(2023年)で、2位のスペインは約8,500万人(2023年)です。
年間の外国人観光客が6,000万人に達すると、世界BEST5に入る観光大国になることになります。

私たち日本人にとって当たり前の、恵まれた自然や歴史・文化・食事などは、外国人からすると、何度でも通いたくなるほどの魅力があります。
しかし日本はこれまで、こうした〝宝物〟を、正しく発信することが出来ていませんでした。

外国人目線も入れた地域の魅力発掘や磨き上げ、そして世界を対象にした国際マーケティングを行なっていくことができれば、「日本は観光大国として世界をリードしていけるのではないか」「それほどに強いポテンシャルがある」と考えられているのです。
私個人的には、近隣国の人口と競合の観光国を考慮しても、年間8,000万人は裕に可能だと考えています。(無論、観光客の数が全てではありませんが)


次に重要な指標が、年間消費額です。
外国人観光客数による年間消費額は、2030年までに「15兆円」を目指します。

世界一観光客が訪れている国はフランスですが、世界一「国際観光収入が多い国」は、アメリカです。
アメリカの年間の国際観光収入は、27兆3500億円(2023年)で、2位のスペインが14兆3000億円(2023年)となっています。

ここまで、「観光客数」と「年間消費額」の目標について述べてきました。

数値をわかりやすく解説するために、世界の観光状況と比較しましたが、
誤解をしていけないのは、日本が決して「世界一の観光大国」を目指しているわけではないということです。
この「6,000万人」と「15兆円」の目標の根拠は、国外よりも、むしろ〝国内〟にあると言えます。

なぜインバウンドがこれほど重要視されるのか?その理由と背景を探る

2030年のインバウンド消費額の目標「15兆円」の真実

なぜこれほどまでに「インバウンド」が重要視されるのか。
その真相を探る鍵となるのが「年間消費額15兆円」という目標値です。

この数字の根拠は、下記の図をご覧いただくと分かると思います。

クリックで拡大できます

天然鉱物資源に恵まれない日本で、電気やガスなどを便利に使うためには、原油とLNG(天然ガス)の輸入が必要不可欠です。
これらの輸入には国富から必要代金を捻出こととなり、それに見合った輸出金額(収入)を国富に入れる必要があります。

一般家庭が快適に生活するためには会社からの給料などの収入が必要なように、国も輸入をするためにはその分の収入が必要になるのです。

ところが現在の日本の輸出状況を見ると、自動車産業の割合だけが多い状態となっており、非常に不安定です。
国としては、最悪のシナリオ(自動車産業が国際競争力を無くしてしまう可能性)も想定して、あらかじめ対策を練っておく必要があります。

半導体はかつて日本が制覇していましたが、中国や東アジアが力を伸ばしています。今後、持続的な成長路線に戻すには巨額の設備投資をする必要があり、それが国際競争力に直結するかどうかは他国次第のところがあります。

そんな中に、外貨獲得の産業として注目されているのが「インバウンド」による収入なのです。
すでに評価の高い「日本食文化や歴史、伝統、自然環境」を世界にもっと売り込もう!という発想です。

つまり「インバウンドの年間消費額15兆円」の根拠とは、国の輸出収入の柱を増やすことにあると言えます。

インバウンドの歴史
太平洋戦争敗戦後の日本の成長と輸出事業

1945年の敗戦後、日本は焦土と化し、国民は深刻な経済的困窮に直面しました。
しかし、戦後の復興期において、日本はアメリカを中心とする連合国の占領下で新しい経済基盤を構築しました。
特に、朝鮮戦争特需(1950年)は日本の経済復興を加速させ、工業生産の拡大をもたらしました。

その後、高度経済成長期(1955年~1973年)に突入し、自動車、家電、鉄鋼などの分野で高品質かつ価格競争力のある製品を生産し、輸出を通じて外貨を獲得しました。

特に、1970年代以降の石油危機などの外部ショックを克服する中で、日本は技術革新や効率的な生産体制を導入し、輸出主導型経済としての地位を確立しました。
トヨタやソニーといったグローバル企業が成長し、「メイド・イン・ジャパン」の信頼性が世界中で高まりました。

小泉首相による「観光立国」宣言

2000年代初頭、日本経済はバブル崩壊後の長期的な停滞期(失われた10年)から脱却を目指していました。
その中で、当時の小泉純一郎首相は日本の経済成長戦略を多様化する必要性を強調しました。
輸出に依存する経済からの転換と、内需拡大の一環として観光産業が注目されました。

2003年、小泉首相は「観光立国推進基本法」を制定し、日本を観光大国へと変革するビジョンを掲げました。これに伴い、外国人観光客誘致を目指した「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が開始されました。このキャンペーンでは、政府と民間が連携して、日本の文化、自然、歴史的遺産をアピールし、観光産業を経済成長の柱の一つに位置づけました。

「年間消費額15兆円」を実現するためには、「観光客数」も必要となってきます。
もちろん、富裕層ばかりであれば、観光客数を減らしても年間消費額を維持できます。
しかし、国により観光客の特徴が異なる上、国際情勢などのリスクもあるため、やはり「観光客数」という基準も重要になります。

地域よっては、オーバーツーリズム(観光客が増加することによる起こる様々な問題)が深刻になっているのも事実です。
住民の生活に悪影響が及ぶのでは、本末転倒です。
この問題の対策は、急務となっています。

インバウンドで日本の国富は増えるのか?観光立国の未来像を考える

近年、日本の人口減少と高齢化に伴い、内需の減少が懸念されています。そのため、外貨獲得手段としての観光がさらに重要視されています。
2019年には日本を訪れた外国人観光客数が過去最高の3188万人を記録し、観光収入は重要な外貨獲得手段となりました。

今後の日本経済における外貨獲得の流れとしては、私たち観光事業者ができることとは何でしょうか?
私は主に次の5つがあると思います。

1.観光産業の高度化

インバウンド観光において、体験型ツーリズム(農業体験や伝統工芸体験など)やナイトタイムエコノミーを拡充することで、滞在期間や観光支出を増加させる戦略を進めること。

ナイトタイムエコノミーについては、当サイト内でも取り上げています

2.デジタル技術の活用

ビザ発行の簡素化や多言語対応の観光アプリ、キャッシュレス決済の導入など、デジタル技術を駆使して観光客の利便性を向上させる取り組みが進めること。

3.地域観光資源の発掘と活用

都市部だけでなく、地方の魅力を発信し、観光客を分散させることで、地方創生と外貨獲得を同時に達成する取り組みを強化すること。

4.新興国からの観光客誘致

日本は人口減少により、市場が縮小していきます。しかし世界には、中国や東南アジア諸国を中心に経済成長が進む新興国があります。
こうした新興国の中間層をターゲットにした観光誘致を加速させていくこと。

5.輸出事業との連携

食品や伝統工芸品など、観光を通じて日本製品の認知度を高めることで、輸出産業との相乗効果を狙う動きも注目されています。
また新型コロナウイルスのような感染症や国際情勢にも影響を受けにくくなります。

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  • この記事を書いた人

上野 颯

添乗員・観光イベントの企画者

1998年 愛知県一宮市生まれ、岐阜市育ち
中学生で最年少岐阜市まちなか案内人デビュー
2017年に地元の旅行会社に入社。
カリスマ添乗員・平田さんに学びながら、ツアーの企画・添乗に従事。
2019年には「添乗員上野と行くツアー」初企画
2020年に、コロナ禍で旅行予約が0になったことを機に、観光DXの重要性を感じ、IT技術を広く習得
2023年、株式会社aini-kuを設立。
公立高校 商業科(観光ビジネス)臨時講師、観光コンテンツの企画、バスツアーの企画などを行っています。

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